データが多い病院が、知っている病院とは限りません。

むしろ逆の場合が多いです。システムごとにデータが積み上がっているのに、「先月のあの広告が本当に手術につながったのか」という一つの問いに答えられません。データはあふれているのに、知識がない。なぜでしょうか。データが知識になるまでには経なければならない段階があり、その段階がどこかで途切れているからです。

四つの段階:主題、記録、情報、知識

知識は一瞬で生まれません。四つの段階を経て作られます。主題から記録へ、記録から情報へ、情報から知識へ。

何かが起きます。それを書き留めます。書き留めたものに意味をつけます。その意味が集まって、はじめて使える知識になります。この流れを飛ばす近道はありません。患者さんが広告を見て電話をかけてくる瞬間から、その方が病院を深く理解する「常連」になるまで、データはこの四つの段階を流れていきます。

一本の電話を追ってみます

月曜日の午後、一本の電話がかかってきます。

これがただの「かかってきた電話」で終われば、それはデータにもなりません。通話は終わり、消えていきます。しかしこれが「特定の広告を見て入ってきた、下肢静脈瘤に関する最初の相談問い合わせ」として記録された瞬間、はじめて主題を持つ記録になります。これが最初の段階です。

次に、この記録は視点を経て情報になります。マーケティングの目には「あの広告の成果一件」として、相談室の目には「転換を準備すべき見込み患者」として、経営の目には「まだ売上になっていない機会」として定義されます。同じ一本の電話が、三つの情報として目覚めます。

そしてこの患者さんが実際に来院して相談を受け、検査を経て手術に至り、再び来院するうちに、すべての情報が一人の人の物語としてつながります。こうした物語が数百、数千件積み上がると、ついに知識になります。「この広告から来た患者さんは相談までは来やすいが手術への転換率は低い」「このルートの患者さんは決断まで平均何日かかる」。一本の電話では決して知り得なかったことです。

なぜスプレッドシートはここで止まるのか

多くの病院がこの作業をスプレッドシートで行っています。スプレッドシートは優れたツールです。しかしスプレッドシートは「保存」が得意なだけで、「接続」は苦手です。

スプレッドシートの一つのセルは、隣のセルが何を意味するかを知りません。広告シートの「問い合わせ数」と売上シートの「手術件数」が同じ患者さんを指しているかどうか、スプレッドシートにはわかりません。人が二枚のシートを並べて目で照合しなければなりません。シートが増えるほど照合すべき作業も増え、一度ずれると、どこからずれたかを見つけるのが難しくなります。記録は積み上がるのに、それらの記録がお互いを認識できないので、知識へと昇っていけないのです。

オントロジーはセルを埋める作業ではなく、セルとセルの意味をつなぐ作業です。同じデータを入れても、結果が違います。スプレッドシートは数字を保管し、オントロジーはその数字たちが一人の患者さんの物語であることを知っています。

なぜほとんどの病院は途中で止まるのか

問題は、ほとんどの病院が二番目の段階で止まってしまうことです。記録はします。ある程度情報として整理もします。しかしそれが散らばったままで、知識までたどり着きません。コール記録はコール記録のまま、売上は売上のまま、広告費は広告費のまま、それぞれの場所に積み上がるだけで、一つの物語としてつながりません。

だから広告費をいくら使ったかは知っていても、そのお金がどの手術につながったかはわからないのです。データが足りないからではありません。段階と段階の間がつながっていないからです。高価なシステムをいくつ導入しても「数字はたくさんあるのに何もわからない」という言葉で終わる理由がここにあります。

検索との決定的な違い — 積み上がる

ここで検索との決定的な違いが浮かび上がります。検索は質問するたびに散らばったデータを最初からかき集めます。毎回新しく始めるので、何も蓄積されません。昨日の問いと今日の問いの間に残るものがないのです。

オントロジーは違います。一度整理された知識はそのまま残り、次の問いでより速く正確に使われます。昨日の分析が今日の出発点になり、知識は日ごとに厚くなっていきます。病院が長く運営されるほど、検索に頼った病院とオントロジーを持つ病院の差は開いていきます。一方は毎回最初からやり直し、他方は積み上がった知識の上から出発するからです。

流れは巡っていく

キノティのシステムはこの流れ全体の上に立っています。病院で起きたことは主題とともに記録され、視点によって情報として定義され、その情報が積み上がって病院を知る知識になります。

そしてその知識は再び現場に戻っていきます。「この広告は問い合わせは多いが手術につながりにくい」という知識が生まれれば、それが次の広告を変え、次の相談を変え、次の記録をより正確にします。流れは一方向ではなく、循環しています。私たちが「机の上ではなく現場からOSを作る」と言う理由がここにあります。私たちはこの循環を自ら回しながら、途切れている箇所を毎日発見し、塞いでいます。